LOVEPAIN⑤
「俺だって、会いたかった」
ナツキはシートベルトを外すと、
私を強く抱き締めて来た
「あ、あの、ナツキさ――」
戸惑う私に、
口を塞ぐようにキスをして来る
車の中とはいえ、
こんな道路のど真ん中でこんな……
そう思いながらも、
段々とそのキスに酔いしれて何も考えられなくなって行く
本当にナツキに会いたかったし、
会えて嬉しい
今日は朝からずっと不吉な予感がしていたけど、
私のそんな予感はハズレたのだと思った
ただ、今日、最後に見た成瀬の顏を思い出すと、
胸がキリキリと痛くなってしまう
ナツキに今日会えて嬉しいのは、
本当なんだけど――…
本当は私……
誕生日の今日は成瀬と居たかったのだと、
思わないようにしてもそう思ってしまう
そう思いたくなくて、
私はさらにキスを求めるようにナツキの背に手を伸ばした