LOVEPAIN⑤
「一人だと、どうしても」
さらにギュッ、
と私を強く抱き締めてくる
風呂場の熱気なのか、
ナツキの息なのか、
耳に当たるそれがとても温かい
「ナツキさん、
自炊とかもしないですよね?」
冷蔵庫に何も無かったから、
ピザを取ったのだけど
調理道具もかろうじて鍋やフライパンは有ったけど、
使っているようには見えなかった
「俺がするわけないでしょ」
「外食ばかりじゃ、
体に悪いですよ」
外食ばかりしているようには見えないくらいに、
ナツキは健康的に見えてスマートだけど
だけど、その体の中は不健康なのかもしれない
「じゃあ、今度広子がうち来る時、
何か作って?」
「え、いいですよ」
そう頼まれて、喜んでしまう
「じゃあ、ひじきが食べたい」
「ひじきですか?」
「そう。
俺、ひじきの煮物がガキの頃から好きで」
「そうなんですね」
きっと、ナツキのお母さんが、
ナツキの為によく作っていたんだろうなぁ