LOVEPAIN⑤


「一人だと、どうしても」


さらにギュッ、
と私を強く抱き締めてくる


風呂場の熱気なのか、
ナツキの息なのか、

耳に当たるそれがとても温かい





「ナツキさん、
自炊とかもしないですよね?」



冷蔵庫に何も無かったから、

ピザを取ったのだけど



調理道具もかろうじて鍋やフライパンは有ったけど、

使っているようには見えなかった




「俺がするわけないでしょ」



「外食ばかりじゃ、
体に悪いですよ」



外食ばかりしているようには見えないくらいに、

ナツキは健康的に見えてスマートだけど



だけど、その体の中は不健康なのかもしれない




「じゃあ、今度広子がうち来る時、

何か作って?」



「え、いいですよ」



そう頼まれて、喜んでしまう




「じゃあ、ひじきが食べたい」




「ひじきですか?」



「そう。

俺、ひじきの煮物がガキの頃から好きで」



「そうなんですね」




きっと、ナツキのお母さんが、

ナツキの為によく作っていたんだろうなぁ

< 611 / 641 >

この作品をシェア

pagetop