LOVEPAIN⑤


「まだ台本貰ってないんですけど、

今日の撮影ってどんな設定なんですか?」



初音さんは私がそう訊くと、

少し、戸惑ったような表情を浮かべた



鏡越しだし一瞬そう見えただけで気のせいかもしれないけど、

気になってしまう



今は、笑顔なのだけど





「簡単な絡みだって、
コウジロウからは聞いてる」



「そうですか」




やはり、夫婦だから事前にそうやって仕事の話とかするんだな




「初音さん。
私、今日の撮影で最後みたいですけど。

今まで、ありがとうございました」




「いえいえ。

また一緒に仕事をする機会が有れば、いいわね」


そう笑う初音さんに笑顔を返すけど、

その機会はもう訪れないような気がした



この先、私がDWSと仕事をして切られても、

再び、コウジロウさんが私を撮ってくれるとは思えない



“――踏み台にされたみたいでいい気はしないけど――



昨日、そう言ったコウジロウさん




後味の悪い仕事にはしたくないから、

今日は頑張ろう!
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