LOVEPAIN⑤
「広子ちゃん。
なんでそんなにショックなの?
そりゃあ、俺なんか広子ちゃんから見たらオッサンだけど。
でも、今迄、色々な男優さん達と平気で絡んでたのにぃ~」
「平気なんかじゃないです!」
思わず言い返すように、大きな声が出てしまう
今迄だって、決して平気なんかじゃなかった
コウジロウさんの向けるカメラには、
ずっと赤いランプが点いていて、
それが撮られている事を意識させて来て、嫌だ
「でも、こんな風にあからさまに態度に出して無かったじゃん!
あ、田中君の時は出してたね」
ビジュアル的に難のあった田中たちお
確かに、初めは田中たちおに触られる度に嫌だとかあったけど、
その時の嫌と、
今コウジロウさんに感じている嫌さとは違う
コウジロウさんとセックスをするなんて、
考えられない
コウジロウさんから見て、
私が女に見えている事自体、
耐え難い
私はコウジロウさんを、
慕っていた
それは、何処か父親に対するような気持ちに似ていた
だから、コウジロウさんも、
私を娘のような感覚で可愛がってくれているのだと思っていた
実際、私とコウジロウさんは、
年齢的に親子でもおかしくはない