LOVEPAIN⑤


「――コウジロウさん。
信じていたのに」



彼に、失望してしまう




「信じるもなにも、
べつに俺は広子ちゃんを裏切ってもないし。

それより、後で編集が面倒だから、
余計な事ばかり話さないで」




もう仕事は始まっているんだ



町田さんが回しているカメラの映像は、

控え室に使っている部屋にあるモニターに映っている



今の私とコウジロウさんの会話も、筒抜け




向こうの部屋には、

コウジロウさんの奥さんの初音さんも居る



初音さんは、

旦那のこんな姿を今は見ているのだろうか?




コウジロウさんは私の浴衣を剥ぐように脱がせると、

露になった私の胸に顔を埋めている





私は悔しくて泣けてくるけど、

精一杯平然とした



コウジロウさんの愛撫にも、

感じてみせた




仕事なのだと、割り切ろう




そう思わないと、

心が痛くてズタズタになってしまう


< 626 / 641 >

この作品をシェア

pagetop