LOVEPAIN⑤


行きよりも帰りの方が道路が混んでいたのもあり、

帰宅時刻が思ったよりも遅くなった



マンションに着く頃には、
18時を回っていた





成瀬のアルファロメオが止まり


眠っていたわけじゃないけど、

閉じていた目を開いた




このアルファロメオに近付いて来る人物に、

まさか、と瞬きをしてしまう




私はドアを開け、

車から飛び出すと駆け出してしまう




「ナツキさん!」



ナツキのずっと後ろには、

白いベンツが停めてあるのが見える



もしかして、

ナツキはマンションの前で私を待っていたの?


いつから?





「電話でのお前の様子が変だったから。
気になって、来てみた。

やっぱ泣いてた」


ナツキは赤く腫れた私の目に、

気付いた




「お客さんと会ってたんじゃ…」



「大事な用事が出来たって言って、別れた。

店も今日は休んだから、
どっか行こっか?」



「私、そんなつもりじゃなかったのに。

ただ、ナツキさんの声が聞きたくて」



心配かけるつもりなんて無かった



お店を休ませるなんて



ナツキには、

本当に迷惑を掛けているって分かっているけど



こうやって私を心配して会いに来てくれた事が、

本当に嬉しくて仕方ない

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