LOVEPAIN⑤
ナツキは成瀬の方へ歩いて行き、
成瀬のスーツを掴んだと思ったら
その瞬間、成瀬を殴った
成瀬は地面に腰をついて、
無表情でナツキを見上げていた
成瀬の唇の左側から、
血が出て来る
「いったいどれだけ広子の事を傷付けたら、
気が済むんですか?」
「ナツキさん!本当に違うの!
成瀬さんは関係ないの!」
再び、成瀬に手を出さないように、
私はナツキの右腕を掴んでいた
成瀬はゆっくりと立ち上がると、
押し付けるように手にしていた鞄を私に渡して来た
「殴りたきゃあ、好きなだけ殴れよ。
こいつが俺を殴れない分、
お前にでも殴られたら少しはこいつに罪滅ぼしが出来るから」
その成瀬の言葉に、
ナツキの腕に力が入るから、
私は必死でそれを押さえた