LOVEPAIN⑤

「俺も仕事終わったし、
なんか飯でも食いに行くか?」



「えっ?今からですか?」



「ああ。最近コンビニの弁当ばっかで飽きたから、

付き合え」


そう言って、

篤は立ち上がって私の返事も聞かずに玄関の方へと歩いて行く




ああ、きっと、
落ち込んでいる私の為に……




「あ、はい」


私も慌てて立ち上がる




なんで、私は今日夕飯の用意をしていなかったのだろうか



篤が来ると事前に分かっていたから、

お礼を兼ねて夕飯でもご馳走すれば良かったのに




もし、これが篤じゃなくて成瀬だったら、

そうやって夕飯の用意をして迎えていたんじゃないか……


そう思ってしまった自分が、
凄く嫌な人間に思えてしまった



成瀬よりも篤の方が、
こんなにも私に対して優しくて、

本当にいい人だから余計にそう思ってしまう





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