SillyToy
プロローグ
7月。
くそ暑い夏。
夏休みだ夏。
そんなたるい様な、浮足立つ様なそんな日。
総勢4名の無名バンドが俺が通うハコでの企画に出た。
このくそ暑い季節に全員顔が見えないようにかなんかは知んねーが、帽子をすっぽり被って。
そいつらは一言も話さず、準備が出来るとすぐさま曲を始めだした。俺はこう見えても、ギターしてるし、箱には毎日の様に足を運んでいる訳で。上手下手はわかるつもりだ。
こいつら、やばい
それしか思えなかった。ボーカルは透き通った声をして、リズム隊は、ばっちり。
そして、ギター。同じギタリストとして悔しかった。そう滅多にここまで弾けるやつはいねーんじゃないだろうか。
5曲ほどした後に、ボーカルとベースの女の子2人が出てきて、何やらでかい紙を広げだした。
『ご騒聴謝謝!ばぃ、Silly Toy』
((馬鹿げたおもちゃ))だって?
やられた、
すげー好きになっちゃったよ、なんて柄にもないことを思った。
そんなことを思う俺さえも馬鹿げているのだろうか?
Silly Toy