私は彼に愛されているらしい
でも、ここまできたら言うべきよね。

「名前、さん付けなんだよね。」

「………は?」

「あと微妙に敬語。」

「……はあ。」

しまった、言った後で悔やんでしまった。

明らかに何言ってるんだって顔してるじゃない、やっぱりかなり子供じみてたのかも。

「ご、ごめん。今の忘れて…。」

「ああ!年下だったっけ、みちるの彼氏。」

両手を前に出して全てを無かったことにしようとした私の想像とは違い、佳代は違うところで思考が止まっていたようだ。

「何個下?」

「1個。」

「あら、またそれは微妙な数字ね。」

その言葉に私も苦笑いする。

そうよね、1個下って対等なようで対等じゃない微妙な距離感があるんだよね。

「同じ職場でしょ?そっかー、敬語ね。まあ仕方ないわね。」

「そうなのよね。」

抜けそうで抜けれない状況だってことは私にも分かるから余計にもやもやしちゃうんだ。

アカツキくんのことを悪く言いたいわけじゃないし、そう思ってる訳でもない。

多分、自分の中の戦いだって知っているからこそ私は戦線離脱するように飲みかけのカップを両手で口元に引き寄せた。

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