私は彼に愛されているらしい
連絡も一切無し、アポなしで鼻息荒く私はアカツキくんの部屋の前まで来てしまった。

ここまで上がる前に確認したけど部屋に灯りはついていた、だからアカツキくんは家に居る筈だ。

「…しまった。誰か来てるって可能性もあるよね。」

玄関の扉を前にして私は重大なミスをおかしてしまった。

アポなしってかなりギャンブルじゃん。

ここまで来てから気付くなんて!

「でももう来ちゃったし!」

もうやけくそに近い気持ちで私はそのままチャイムを押してしまった。

呼び出し音が外まで漏れて聞こえる。

そして襲い掛かる後悔の念、とか。

でも仕方がない、ここまで来ちゃったしここで帰るのも来た意味ないし、ていうかもう勢い任せだし。

これで外出中だったら叫びながら走って帰るけど。

声に出せない分、心の中でいろんな言葉を叫んでいたら鍵を開ける音が聞こえて私の体が大きく跳ね上がった。

扉が、音を立てて開いていく。

「みちるさん!?」

驚きを隠せないアカツキくんが少し焦った様子で私の顔を見ていた。

「え?連絡くれた?あれ、携帯どこやったっけ…。」

「あ、アポなしです!」

混乱して自分の不注意かと勘違いしているアカツキくんに思わず叫んでしまった台詞に頭が痛くなる。

まるで仕事じゃないの。

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