私は彼に愛されているらしい
「ご、ごめん。つまりね、連絡もしないで来ちゃったの。」

「え?あ、とりあえず入って。」

アカツキくんの視線が微妙に動いたことに気が付いた。

きっと吐く息が白いことに気が付いて中に入れてくれたんだろうと思う。

いつでも感じる優しさに私は一体何の不満があるんだろう、なんだか罪悪感が生まれて居心地が悪くなってきた。

どうしよう。

私なんで来ちゃったんだろう。何て言えばいいの。

「今日は友達と会うんじゃなかったっけ。」

「うん。佳代とね…さっきまで会ってた。」

「意外と早く終わったんだ…って何やってんの?」

部屋の中に進んでいったアカツキくんは振り返るなり私を見て首を傾げた。

「入りなよ。俺しかいないし、どうぞ?」

良かった、そう言う意味では迷惑をかけなかった。

でもそうはいっても私の中で何一つ解決できていないのよね。

促されるままにソファに座りながら私はこの先どうしようかと必死に思考を働かせていた。

< 106 / 138 >

この作品をシェア

pagetop