私は彼に愛されているらしい
そう言って渡したのは簡単に透明な袋でラッピングされたエプロン、両手で受け取ったアカツキくんは手元と私の間で忙しそうに視線を動かしていた。
「お誕生日サプライズ。アカツキくんって蕎麦好きでしょ?」
「これ…プレゼント?」
「似合うと思うよ。」
店員さんに案内されるとそこには既に何組かがエプロンを付けて待っていた。
戸惑いながらもアカツキくんは受け取ったばかりの紺色エプロンを付けて私の横に座る。
「エプロンなんて調理実習以来だな。」
少しずつ状況を把握してきたのか流れや作り方が書かれてあるプリントを鼻歌交じりに読み始めた。好物の傍打ち体験、どうやら興味はあったようだ。
「一回やってみたかったんだよな…めっちゃわくわくしてきた。」
口元に拳をあてて呟く言葉もきっと本当の言葉、そう思うだけで満たされた私は気付かないふりして手元の資料を読む姿勢を続けた。
そしたらまだ他にもアカツキくんの素直な言葉が聞けるかもしれないと思ったから。
「みちるさん、ありがと。」
「まだ作ってもないよ?」
感動しながら言ってくれたけど、その言葉はまだ早すぎるんだ。
「お待たせしました。それでは蕎麦打ち体験を始めさせていただきます。」
講座が始まる声をきっかけに私たちは蕎麦打ちに集中することにした。
懸命に作業を進める中で時折アカツキくんの様子を見て私は口角を上げる。
仕事中に何度も真剣な姿を見ているけど今日はまた少し違う、どこか嬉しそうに頬が上がっていることに気が付いたから。
やっぱり自分が作った蕎麦はまた格別で、不揃いな麺の太さがより美味しく感じさせた。
「あー、美味しかった。今日は凄い日だな。」
「まだまだこれからなのよ?」
「え?」
「紅葉を楽しめてないでしょ?それに、まだディナーが待ってる。」
「…嘘でしょ。本当に?」
「招待状渡したじゃない。ほら、はやく!」
驚くアカツキくんの手を引いて私はまた赤と黄色に染まった林道へと戻っていった。
「お誕生日サプライズ。アカツキくんって蕎麦好きでしょ?」
「これ…プレゼント?」
「似合うと思うよ。」
店員さんに案内されるとそこには既に何組かがエプロンを付けて待っていた。
戸惑いながらもアカツキくんは受け取ったばかりの紺色エプロンを付けて私の横に座る。
「エプロンなんて調理実習以来だな。」
少しずつ状況を把握してきたのか流れや作り方が書かれてあるプリントを鼻歌交じりに読み始めた。好物の傍打ち体験、どうやら興味はあったようだ。
「一回やってみたかったんだよな…めっちゃわくわくしてきた。」
口元に拳をあてて呟く言葉もきっと本当の言葉、そう思うだけで満たされた私は気付かないふりして手元の資料を読む姿勢を続けた。
そしたらまだ他にもアカツキくんの素直な言葉が聞けるかもしれないと思ったから。
「みちるさん、ありがと。」
「まだ作ってもないよ?」
感動しながら言ってくれたけど、その言葉はまだ早すぎるんだ。
「お待たせしました。それでは蕎麦打ち体験を始めさせていただきます。」
講座が始まる声をきっかけに私たちは蕎麦打ちに集中することにした。
懸命に作業を進める中で時折アカツキくんの様子を見て私は口角を上げる。
仕事中に何度も真剣な姿を見ているけど今日はまた少し違う、どこか嬉しそうに頬が上がっていることに気が付いたから。
やっぱり自分が作った蕎麦はまた格別で、不揃いな麺の太さがより美味しく感じさせた。
「あー、美味しかった。今日は凄い日だな。」
「まだまだこれからなのよ?」
「え?」
「紅葉を楽しめてないでしょ?それに、まだディナーが待ってる。」
「…嘘でしょ。本当に?」
「招待状渡したじゃない。ほら、はやく!」
驚くアカツキくんの手を引いて私はまた赤と黄色に染まった林道へと戻っていった。