私は彼に愛されているらしい
「やっだ！超楽しみ！」

明らかな私の反応を見て舞さんのテンションが急上昇する。しまった、絶対にからかわれる。

「お昼の食堂とかちょっと…。」

「だから早弁よ！端っこの席を取ればいいんでしょ？有紗にメールしとく！」

「ああ～…。」

どうしようもない脱力感から私の頭は素直に机と仲良しになった。大丈夫、ちゃんとキーボード部分を避けて打ちつけたあたりまだ余裕はある。

でもどうしよう、本当に話が出来るんだろうか。だってまだ自分自身がよく分かってないのに。

「有紗オッケーだって。」

「…ありがとーございまーす。」

一応のお礼は言っておこう。

お昼まであと1時間もないか、なんか仕事に身が入らないけど進めとかないと何時になるか分からないな。明日残業できないしって…なんか行く気満々じゃないのよ私。

「あー。もー。」

机に頭を押しつけたまま唸り声を上げる私は傍から見れば変な人間だろうな、でも今はそれどころじゃないんだよ。そう、それこそ駄目だ。それどころじゃない。

「仕事だ！仕事しよう！」

溜まりつつある訂正図面を引っ張り出して息を短くフッと吐く。気合は入れた。

舞さんはそれ以上何も追究しようとはせず、同じ様に黙々とマウスを動かし仕事を進めていく。適度な緊張感のある空気は仕事を進めるのには素晴らしい環境だ。

おかげで早弁と称する昼休憩の5分前になるまで無心で取り組むことが出来た。

少し早い時間にも関わらず何人かは既に食堂で昼食をとっているようだ、今日のメニューを眺めて決めた頃にお昼休憩のチャイムが鳴り舞さんの計画通り私たちは少しでも話し込みやすい環境を作れる場所を確保した。

とは言っても食堂なんでオープンスペースには変わりないんだけどさ。

「さー！昼休憩たっぷり時間を使って話し込むぞー！」

大好きな明太子パスタを選んだ舞さんが楽しそうに席に着いた。

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