私は彼に愛されているらしい
「…あんたいくつだ…って。どうやら課長は本気だったようで私それに気が付いていなかったんです。見極めも出来ないのに適当に気のいい返事をするから誤解されるんだって言われました。」

「心配してくれたんですね。」

「いや、あれは呆れてた。自分で愛想振りまいといて、相手が近寄ってきたらセクハラ扱いするのはおかしいんじゃないかって…多分そう言いたかったと思う。違う言い方していたけど言いたいことはそれなんだなって思った。」

今にしてみたら私もかなり思わせぶりだった気もする。相手は既婚者だから大丈夫なんて変な自信もあった、だから余計に課長からメールが来た時に嫌悪感を抱いたんだ。

信じられないって。

「課長のことだからその日中に連絡が来るだろうって言われて、どうしていいか分からなかったから竹内くんに助けを求めたんです。本当にメールが来て、竹内くんに言われるまま送り返したら解決しました。」

「メール？」

「…携帯の個人アドレスに。」

「あんた教えたの！？」

あ、その反応、竹内くんのと同じやつだ。やっぱりやってはいけないことだったんだ、舞さんの様子で自分の痛さを改めて味わった。

「…はい。以前仕事で関わった時に、アドレスも渡してました。」

「赤外線で自分のデータを送ったんでしょ。あんたね、そういう時は自分の名前と番号だけのものを電話帳に1個作っとくのよ。余計なデータは一切無しのビジネス用！」

「…はい。そうします。」

舞さんの言うことはもっともで私はただただ項垂れた。チラッと視界に入った有紗は私と同じ様にヤバイって顔をして固まっている。

覚えたね？先輩の失敗を是非とも有効に活用してくれ。

「…私もやっておきます。」

「あんたもか！」

黙っていれば牙をむかれることはなかったのに、素直な天然ボケボケちゃんは言わなくていいことを口にしたようだ。その素直さは可愛くて評価できるんだけどね。

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