私は彼に愛されているらしい
「ねえ、竹内くん。…私たちって付き合ってるの?」

「…ああ!?」

きゃー!怖い!どういうことだろう、今までで一番最強にこの上なく怖い!!

顎、顎出てる!眉間にしわ寄ってる!声も唸りが入ってる!目が座ってる!

私!きっと言ってはいけないことを口にしてしまったんだ!!

「あんた本気で言ってんのか?」

きゃー!付き合ってたんだ、やっぱりもう既にいつの間にか始まってたんだ!それはもう痛いセリフを馬鹿丸出しで言ってしまったに違いない!

だってそうよね、今日の竹内くんの言い回しってもうまとまってるような感じだったもんね?そうなった記憶はないけど。

「あんたがいつ俺に答えをくれたよ!?」

…って、え?

「やっぱ私、返事してないよね?」

「してねえよ!夢遊病かてめえは!」

「口!口悪いから!」

悪くもなるだろう、そう呟きながら竹内くんはまた額に手を当て疲れましたポーズをとった。

どうしよう。

そう思わせる程に今の竹内くんは脱力しているように見える。この状態ってきっと私のせいなんだよね?そうは思っても戸惑うばかりでどうしていいか分からなかった。

裏声に近い唸りを上げて額を擦るように繰り返すと。

「勘弁してくれー。清水みちるー。」

情けない声を出しながら頭を抱えるようにしてその場にしゃがみ込む。みるみる小さくなってしまった竹内くんに私はただただ焦った。追う様にしゃがむと曇った声が聞こえてくる。

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