私は彼に愛されているらしい
「でもどうやら悩み相談な気配でもなかったし、持田さんからもちかけた話題っぽかったから東芝さんからもそんな重い感じで聞いてこなかったんだけどな。」

おそらく片桐さんへは軽いノリで聞いてきたんだろうな。

最近あの2人の様子はどうなの、ちょっとヤバイ話になってんじゃないの？みたいな感じで。

何か反応した方がいいだろうけど、何も思いつかない。衝撃を受けているからというのもあるけど、それ以前に俺はまだプロポーズとかしてないし。

「俺が気になったのはだな。…野暮だって分かってるけど、実際お前たちはどうなってんのかなってさ。行き詰ってんだったら…一応経験者だし話くらいは聞けるだろうと思ってよ。」

成程。つまり片桐さんは俺と清水さんがぎくしゃくしていないか探りをいれてるってことか。

おそらくそれは好奇心とか浮いた気持ちじゃなくって、純粋に心配しているからなんだろうな。主に清水さんの方を。

そっか、清水さんの気持ちか。

「うーん、そうですね。」

半分は息を吐きながら、少し背筋を伸ばして俺も窓の外の景色を眺めた。

結婚か。

この人になら言ってもいいかな。

「さっきも話しましたけど、本当に2人の間では結婚の話題は出ていないんですよ。それに関するようなことも、特に強く意識するほどの話題は今のところないですね。」

「お前の中では？」

「正直…具体的なことは何も。強い意志はないです。」

「ふうん。」

関心を示さないような声とは裏腹に何度も小刻みに頷く片桐さんの頭、それは干渉したい願望の表れの様で苦笑いしてしまった。

言いたいことはまだあるんだろうな。

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