私は彼に愛されているらしい
みちるの実力
今日が水曜日で助かった。
一応の規定で毎週水曜日は残業を許さない、ノー残業デーに指定さている。それでも業務に追われて残業する人もいた、勿論そういう人たちはちゃんと申請を義務付けられているのだ。
先週の俺も申請を出して残業していた身だが今日はありがたく定時帰りです。
「今日はどうするの?」
俺が運転する車に乗り込んで慣れた様に清水さんが尋ねてきた。おっと、もう仕事モードは終わりだよな。
「みちるさんは何か希望はある?」
シートベルトを装着しながら今度は俺から尋ねた。
可愛らしい声で唸るとみちるさんは首を傾げて思いつかないと苦笑いをする。
「お腹は空いてるんだけどね。がっつりいきたい以外は特にないかな。」
「がっつりか…。特に強い希望がないなら今日は俺が作るわ。材料は家にあるやつ使うし、このまま帰るけどいい?」
「作る!?アカツキくんが?嬉しいけど疲れてないの?」
「そんな気分なの。じゃ直帰で。」
着替えも泊まりに必要なものも全部お互いの家に揃えているから急な誘いでも問題はない。俺の車に乗った時点でみちるさんの車は置いていく事になるから、彼女もそのつもりでいるだろう。
ちらりと彼女の方を見てみると案の定、迷いのない様子で助手席に落ち着いていた。
「やったー!ラッキー!ありがとう。」
手を叩いて提案を喜ぶ姿に俺は頬をゆるませる。
些細なことだが十分すぎる幸せを噛みしめて俺は彼女の頭を撫でた。嬉しそうにはにかんで身を任せてくれるようになるまでそう時間はかからなかった気がする。
やっぱりみちるさんは頭を撫でられることに弱かった。
恋人という近い存在になってから知ったことは沢山ある。それは彼女が思った以上に大雑把で豪快だということだ。