私は彼に愛されているらしい
「好きな奴、彼氏以外の男と二人きりの時は次に繋がる発言はするもんじゃねえ。相手が誤解する。」

「でも社…。」

「社交辞令でもだ。大体、独身で若いってだけで女はモテる様に世の中できてんだよ。基本男はアホなんだ、すぐ調子に乗るし下半身で生きてる様な奴もかなりいる。まあ女にもいるかもしれないけど、数でいうと明らかに男のが多い。いいか、ブスでも彼氏がいるのはそういうこった。少しでも好きになればそいつが世界で一番かわいく思えるんだよ。中毒みたいになんの。面倒くさい奴の相手をしたくないなら可能性は全て切り捨てろ。」

なんというマシンガン。

いや、確かにこっちが口を挟めないような勢いだったけど早口ではなかった。一つ一つ説得力があるような無いような、とにかく理解させられる言葉にただただ飲まれていったような感じだ。

つまりは何だ。

「隙がある…てこと?」

「誤解されやすいってこった。…あいつらの言ってた意味がよく分かったよ、まったく。」

あいつら、それが誰を指すのか分からず目を細めて顔で尋ねると、竹内くんは面倒くさそうに頭を掻きながら口を開いた。

「あんたを口説こうとした奴ら。好意的だし簡単に落とせそうだと思って近付いたら難攻不落だったってさ。どうせあんた、興味のないことはバッサリ切ってたんだろ。会話にしても誘いにしても。」

おっと、それは少し図星だぞ。私は少し目を泳がせながらも納得がいかず言い返すことにした。

「なんでそう思うのよ。」

「社交辞令をやたら口にする奴って上の人相手にしか考えてないのが多いからな。どうぜ同僚とか先輩くらいだったら気軽に適当な会話してんだろ。私興味ないですって平気で言えちゃうタイプ。」

お見事です。見事に大当たりした私は思いきり肩を落として撃沈した。

「小悪魔だ、何だと言われてたけどな…それが計算じゃないってことは今日でよく分かった。あんた、鈍いだけだ。」

鈍いの言葉に私はさらに項垂れる。私の可愛らしい記憶力では今日何回かその言葉を聞いた気がする。

自分ではそんなつもりは無かったのに、ていうか鈍いってちょっと可愛らしい響きでもあるのに竹内くんの口ぶりからすると罪に値するようだ。

「あんたいくつだよ。」

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