番外編☆獣系男子×子羊ちゃん
次の土曜日、

少し早起きをして
2人分のお弁当を作った。


5時起きで作ったハンバーグに
唐揚げ、カラフルな野菜を

大きなお弁当箱に詰めた。


うん、これでよしっ!


蒼介さん、喜んでくれるかな?


びっくりするかな?



蒼介さんに会えるのが
嬉しくて、

ふわふわとした気持ちで
予備校に向かう。



歩道の街路樹も、

郵便局の前に置かれた赤いポストでさえも、

眼に映るもの全てが、
輝いて見える。




「モモ、今日は変なやつに
言い寄られたりしなかったか?」



講座を終えて予備校のカフェテリアで
蒼介さんを待っていると、

後ろからいきなり


蒼介さんの両腕に抱え込まれた。



「そ、蒼介さん、
ここ公共の場だよっ。」


蒼介さんを見ている女の人たちの視線が
痛いほどに突き刺さる。


「だからどうした?」


なにも気にせずにいる蒼介さんを
蒼介さんの腕のなかから見上げる。


蒼介さんは
恥ずかしくないのかな……


そう思いながら見つめていると、

すぐ近くに迫る蒼介さんの綺麗な顔立ちに
かぁっと恥ずかしくなって、


赤くなる顔を慌てて隠す。



「くくっ。相変わらず、すぐに赤くなるな。
こんなんで、大丈夫か?」



「………???
大丈夫だよ?」



すると、呆れたように
蒼介さんが小さくため息をついた。




「……まぁ、いいよ。気長に待つよ」



???


「じゃ、飯、食うか!」



そう言って、

カウンターへと足を向けた蒼介さんを

引き止めた。



「あの、蒼介さん、
今日は、お弁当作ってきたの。」



「え?弁当?」



「うん。この前、
パスタ作ってもらったから。

そのお礼に…

だから、
近くの公園で一緒に食べよう?」



蒼介さんと2人で過ごせる時間は
一緒に楽しみたい。


2人で過ごせる瞬間を
ひとつひとつ大切にしたい。


もう、蒼介さんの昔のことでは
悩まないって決めた。



< 115 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop