番外編☆獣系男子×子羊ちゃん
「だから、それとこれは別なんだって。

親父が患者の家族であるお前を
我が子みたいに
可愛がってたとしても、

それが溺愛してる娘の相手となれば

親父も豹変するだろ。

あの親父だぞ?!」



「あの親父」なんだ…


俺の知ってる佐伯先生とは
別の顔があるってことだよな…


凹む俺にかまわず、一樹は話し続ける。


「俺だって、
お前がすごくいい奴だって
わかってたとしても、

モモをお前の部屋に
連れ込みでもしたら

連射銃で撃ち殺すかもしれないしな、
いや、マジで。」



父親は日本刀で、息子は連射銃か…



「どんだけ怖いだよ、お前んち…。」



「つうかさ、
散々親父の愚痴聞かされた挙句に

途中から、俺の管理が悪い、
俺のガードが甘いって言い出して

俺が親父に、
朝まで怒られたんだからな?

明け方まで親父の前で正座させられて
意味わかんねえよ。

マジ、また家出しようかと思った」



「それは勘弁。」


一樹が家に帰らず

大騒ぎになったあの夜を思い出し
思わず眉を寄せる。



「冗談だよ。
ま、しばらくおとなしくしてろよ。

で、モモの5時帰宅、
ちゃんと守らせろ」



「普通に無理だから。

小学生かよ……

お前、妹のモモのことばっか心配してるけど
一樹は今、彼女いないのかよ?

お前、モテんだろ?」



そろそろ話題を変えておかないと、
身の危険を感じる。




「彼女とか、重いじゃん?

俺、大勢で騒ぐ方が好きなんだよ。
その方が楽しいだろ」


そう言って一樹は
いつもの人懐こい笑顔を向けた。


まぁ、一樹らしいと言えば
一樹らしいかもな。



「ま、だれか可愛い子いたら
紹介しろよ。」


……どっちなんだよ!



「モモ以外の女なんて
目に入んねぇから、

紹介なんてできないけどな…」


ポツリと呟いた俺に
一樹が鋭い目で睨みつけてきた。



「……やっぱり別れろっ!!

『俺の妹のモモ』だっ!

お前のモモじゃないねえ!

『俺のモモ』みたいな言い方、
……絶対にするんじゃねえっ‼︎‼︎」



いきなり怒り出した一樹が
俺に向かって投げたカバンを

ひょいっと避ける。



だって、

……俺のモモだし。


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