竜胆〜りんどう〜
「…『八神』…さん…でしょ?
あたしに構うの…マズイ…よ…」

『八神』があたしに関わるのは
誰が考えてもご法度
それなのに…

「…オマエは…イヤ、か?
オレの…
八神の世話にはなりたくねぇか?」

オトコマエの彼が哀し気に瞳を揺らす
それが何だかイヤで…
思わず彼の頬にそっと手を当てた

「…イヤ…とかじゃなくて…
そっちが…
一生あたしに関わる事は…
ないんじゃないの?」

スッと彼の…京吾の目が細くなった

「誰が言った?
誰がオマエにそう言った?」

…えっ?あれ?
何で…怒ってんの?

「ダレって…周りの人たちみんな…
オマエはあの時…
一緒に死んでりゃ良かったのにって…
何で生きてるんだ…って
それに真っ先に
オマエとの関わりを断ち切ったのは八神で
八神もオマエを見捨てたって…
そう聞かされてたし…だから…
勝手にあたしと関わると
ダメなんじゃないかなって…」

な、何だか…
周りの温度が急激に下がったような…






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