竜胆〜りんどう〜
「…なるほどな
オイ、秀‼︎
オヤジに報告しとけ

…あんな瑠李、
…はああ…
まあ今はいいか…
本家に顔見せに行ってからにするか…
いいか、
今日からオレがオマエの面倒をみる
コレは決定だ
…オマエでも捻じ曲げらんねぇ」

イミが…
「わかんない…
何で…」

そう零せば

「何で、か?
簡単なコトだ


…オレがオマエに惚れたから


それだけだ

行くぞ」

あたしを軽々と抱く京吾は
もう何も言わず病室を後にした

いつの間にか柏木先生は居なかった

そうしてそのままこっぱずかしい格好で
京吾に抱かれたまま
フルスモークの黒いベンツに乗り込んだ

大きな彼の手を
彼に…ムリヤリ捕まされたあたしは
その差し出された手の中で
"光" を見つけた…

『京吾』っていうあたたかくて
強烈な光を…


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