竜胆〜りんどう〜

いつの間にか京吾があたしの頬に
何度も手を滑らせていた

…手

あたしの頬に置いていた京吾の手を
そっと掴む

きゅっ

京吾は何も言わず
あたしのしたい様にさせていた

大きな手…

アノ赤い手と違う…
細くて色が白い腕…
赤く染まったアノ手と…違う

「違う…ね
大きい手…あったかい…」

掴んでいた京吾の手を
もう一度あたしの頬に当てた

暖かい手に涙が出そうになる

「…瑠李…」

そっとあたしの頬から手を離し
ぎゅうっとあたしを抱きしめる京吾

「…あったかいだろ?
瑠李…瑠李はココで息をすればいい…
オレの腕の中で
この中で生きていけばいい」


……
そんなコトあたしに出来るのだろうか?
本当にココで"幸せ"になれる?

そんなあたしの不安を感じて
京吾が言い募る

「不安に思うコトなんて何もねぇ
ただオマエはオレの側に居ればいい
ダレが何言おうとカンケーねぇ
オマエはオレのモン…そうだろう?」







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