君がため惜しからざりし命さへ
「なぁんか 深谷さん って、話し掛け辛いよね」
「…分かる!」
「この前 話し掛けようと思って近付いたら、睨まれちゃって…
やっぱ怖くなって やめちゃった」
「そうなの!?
でも確かに目付き悪いよね 笑
何か いつも怒ってるみたいだし~」
「サヤが言ってたんだけど
中学ん時から、そうだった みたいだよ。
…クラスの皆からハブられてた って」
「何か それ、分かる気が する」
「高校 入ったら とりあえず皆に話し掛けて仲良くなろう って思ってたけど、
やっぱ うち、あの人だけは 無理だわ~ 笑」
「分かる 笑」
…黙って ずっと本を読んでいたら、
クラスの女子の会話が聴こえて来た。
本人が教室に居ると いうのに、実に堂々と話すものだ。
でも 聴こえてて、それが嫌で出て行く と いうのは、
逃げてる みたいで 何か癪だから、私は ここで ずっと 本を読み続けてる。
とは言え
睨み付けて"聴こえてるんですけどアピール"を する勇気までは持てなくて、
ひたすら表情を読まれないように、下を向いてた。