君がため惜しからざりし命さへ




きりぎりす が 言いました。




"なぜ こんな所に居るの?"






…あぁ きっと私は あの時 蟻に食べられて、蟻の一部に なって…

それで 此処に居るのね。


だって、

目の前に映る景色は、全てが随分と大きい。






"ねぇ 何で此処に居るのか って訊いてるんだけど?"




…しつこい方ね。


だから私は あの時 蟻に食べられて……


って、聴こえないのかしら


わ・た・し・は あ・り・に……!






"…んん~?


こいつ、喋れないのかぁな?"




そう きりぎりす が 首を捻ったところで、

私の視界は、黒で遮断されました。





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