君がため惜しからざりし命さへ
彼女の周りに集まって来る子達は、"本当の彼女"を見ているんだ と 思う。
でも、何処にでも噂の好きな子達が居て、
その子達は、噂で固められた"虚像の彼女"しか見えてないんだ と 思う。
私は実際に見て話した、本当の彼女しか、知らない。
噂に踊らされて、人の悪口しか言えない奴等なんて、クソくらえ だ。
「……お待たせ~!
すっごく美味しいケーキ屋さんが あって…、
ミリアちゃんと一緒に行きたいなぁ って、思ってたの♪」
可愛く巻き髪を揺らしながら教室まで迎えに来てくれた美冬ちゃんは、
相変わらず天使みたいな ふわふわオーラを纏ったまま そう言った。
美冬ちゃんを見て、教室に残っていた男子がザワついて、
それを見ていた女子達が、"やっぱりね"と言うように、こそこそ と 囁き合っていた。
私は そんな奴等を完全に無視して、
わざと大きな声で言った。
「ありがとう!
早く学校 終わらないかなーって、ずっと楽しみに してたの!」
「ほんと!?
よかったぁ♡
その お店、ワッフルも美味しくてね~……」
こんなに大きな声で話してる私を見た事が無かったからか、美冬ちゃんは一瞬 驚いたみたい だったけど、
すぐに いつもの笑顔を取り戻して、そう続けた。