君がため惜しからざりし命さへ
「この人は どうするの…?」
真顔に戻って、貴女は首を傾げた。
悼ましい表情で、近くで横たわる人間を見て、
次に僕の顔を見る。
罪悪感が掠めて、胸が ちくん と 痛んだ。
「いつも、そのまま……。
僕らは心臓しか 食べないんだ」
何故か申し訳ない気持ちで そう言うと、
貴女は柔らかく微笑んだ。
「…そう。
ねぇ、
埋めて その上に植物を飾って…
手を合わせると いいよ。
私も毎日、生き物の命を自分の為に貰ってるけど、
"ありがとう"って、供養してる。
死んでしまったものは戻らないし、
相手の為でも何でも無いけど…、
自分の気持ちが、少し楽に なるよ」