隣の津川さん
「なあに、遠慮することなんてないんだ。いずれ子どもが生まれたら、あたしが赤ん坊を背負ってコロッケ揚げるから、本田先生はなんにも心配することなんてないんだから。」

宮田のばあさんはうっとりと宙を見つめた。

おそらく孫を背負ってコロッケを揚げる自分の姿を妄想しているのだろう。

「そういうのもありでしょ!」

今まで黙っていた葛巻さんが声を上げた。

「だろ?いい案だよね、葛巻さん。」

宮田のばあさんが嬉しそうにニカッと金歯を光らせた。



本田、しっかりしろ!

このままじゃ『オババ連合』の思う壺だ!




「ちょっと待ってください!」

本田ちゃぶ台をひっくり返すくらいの勢いで両手をついた。



「わ・・・私は・・・私は・・・。」



本田、二人の前で膝立ちのまま、次の言葉が出てこない。




そ、そのとき!!!



「ほ、本田さん、大丈夫でしたか?」
< 101 / 131 >

この作品をシェア

pagetop