隣の津川さん
「津川さん、単刀直入に聞くよ。サラって誰なのさ?」

津川さん、一瞬固まった。

「葛巻さん、あなた見てたんですか?」

津川さん、大汗かいてる。

「あたしじゃないよ。本田さんが見てたんだから」

はい、全員本田さんに注目!

本田、いきなり矛先が自分に変わり、焦りまくる。

「はい、見てました」

本田、哀れ。

下を向く。

「いったい、どこで?だってまだ学校から帰ってない時間だったはず」

「おやおや、本田さんが帰らない時間と確信して、サラとやら女を家に上げていたというのかい?」

葛巻さん、本領発揮。

「私、学校が予定より早く終わったので、宮田さんとこのコロッケ買って、あ、ここのコロッケ最高においしいんですよ、だから津川さんに食べさせてあげたいな、なんて思っちゃって。で、津川さんちのピンポン押そうとしたら、いきなりドアが開いて、この通りです」

本田、自分の額を指差す。

「で、サラさんが出てきて、それを津川さんが追いかけて、二人ともいなくなっちゃいました。残された私は、自分の部屋に入って……今に至るというわけです」
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