隣の津川さん
「なあに言ってんだか!ただ単に小さい目と低い鼻なだけじゃないか……」

葛巻さん、不満たらたら。

「まあまあ、葛巻さん。どうやらうちの息子が入る隙はないとみたよ。あたしゃうちに帰るとするかね」

宮野のばあさんはよっこらしょと腰を上げる。

「ちょっと待った!こんなんで曖昧にさせちゃあいけないよ」

葛巻さんが津川さんと本田の間に割って入った。

葛巻さん、津川さんの鼻先に人差し指をずんと指し示す。

「いいかい、津川さん。物事はやっぱりはっきりさせなきゃいけないと思うんだよ。」

腰を上げかけた宮田のばあさんだが、こりゃまた一つ面白いことが起こりそうだと、座りなおした。

「とりあえず、津川さんの美的感覚が普通の人とかなりずれがあることはわかったよ」

葛巻さん、ごほんと咳払いを一つ。

「私が確認したいのは、津川さんは本田さんと結婚までちゃんと考えているのかってことだよ」



き、き、来たーーーーーっ!!!



さすが葛巻さんだよ。

あっさり聞いてくれた!
< 110 / 131 >

この作品をシェア

pagetop