隣の津川さん
「だったら、あんたはどうして今ここにいるんだい?」
葛巻さんは納得がいかない。
「まあまあ、葛巻さん最後まで話を聞いてくださいよ」
庄司さんはおもむろにポケットからタバコを取り出し火をつけた。
「親父の話を聞いてとりあえず実家にいたはいたんです」
庄司さんの口から白濁の吐息がこぼれる。
「なあ、おまえはさあ、好きに生きたらいいさ」
親父の髪の毛はすっかり白銀に染まり、小さくなった体をさらに丸めてつぶやいた。
「まあ、もう金は出せなくなっちまったがな」
親父は背中だけでくっくっと笑った。
「親父……」
「自分の納得いく生き方をしろよ。やり残したことがないように、な」
親父のごつごつとした皺だらけの手が俺の肩をぽんと叩いた。
おふくろはただ黙って微笑むだけだった。
「やり残したこと……?」
田舎に帰ったあとも俺を苦しめていることがあった。
俺はあえてそれに向き合わないようにしてきたが、答えはすでに出ていた。
そう、俺にはやり残したことがあったんだ。
葛巻さんは納得がいかない。
「まあまあ、葛巻さん最後まで話を聞いてくださいよ」
庄司さんはおもむろにポケットからタバコを取り出し火をつけた。
「親父の話を聞いてとりあえず実家にいたはいたんです」
庄司さんの口から白濁の吐息がこぼれる。
「なあ、おまえはさあ、好きに生きたらいいさ」
親父の髪の毛はすっかり白銀に染まり、小さくなった体をさらに丸めてつぶやいた。
「まあ、もう金は出せなくなっちまったがな」
親父は背中だけでくっくっと笑った。
「親父……」
「自分の納得いく生き方をしろよ。やり残したことがないように、な」
親父のごつごつとした皺だらけの手が俺の肩をぽんと叩いた。
おふくろはただ黙って微笑むだけだった。
「やり残したこと……?」
田舎に帰ったあとも俺を苦しめていることがあった。
俺はあえてそれに向き合わないようにしてきたが、答えはすでに出ていた。
そう、俺にはやり残したことがあったんだ。