隣の津川さん
なんじゃ、この胸のもやもやは?!

一人部屋でじたばたしている本田。

「おい、恵子、冷静になれ。」

本田の独り言が始まった。

「だいたい、ほんの数日前に隣に越してきただけの人に、自分は何を妄想しているんだ!!!」

本田は髪の毛をかきむしって、邪念を振り払おうとした。


ピンポーン!


こんなときに誰よ?

ドアを開けると立っていたのは津川さんだった。

「どうしたんですか、すごいヘアスタイルですね。」

あんたのせいだ、と言いたいのをぐっとこらえた。

「ただのねぐせです。」

本田は威圧感たっぷりの声ですごんだ。

「はあ。」

津川さんは一瞬たじろいだようだが、こう付け加えた。

「今度の日曜日に僕の家でパーティーがあるんですけど、本田さんもよかったらどうかなって思って。」

津川さんはにこにこと愛想よい。

「パーティー?」

「ええ。そんな大げさなものではないんですよ。僕の引越し祝いを兼ねて、ご近所の方と僕の友人を呼んでちょっとした親睦会みたいなものですから。」

「はあ。」

「日曜日の2時ごろからよかったらいらしてください。」






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