隣の津川さん
「なんでサラさんはそんなことしたんだい?」
宮田のばあさんが欠伸をかみ殺しながら聞く。
ばあさんにしたらほんとどうでもいい話だ。
「決まってるじゃないか。サラはあれさ、ファザコンてやつなんだろ」
葛巻さんが首をぽきぽきならしながら言う。
「そうなんですよ。サラは津川さんがこのマンションに越してきた時からずっと津川さんのストーカーみたいなことをしてたんですよ。ま、娘ですからストーカーにはならないのかな」
津川さんは情けない顔をしていた。
そうだよね、脅迫状の主が実の娘なんだもの。
「まず、隣人の本田さんが津川さんを意識したのを、女の勘というんですか、鋭く見抜きましてねえ。それで第一の脅迫状」
庄司さんたらまるで古畑にんざぶろうみたいなアクションでいちいち大げさなんだけど…。
「その後フランソワが津川さんに接近するのに気づき、本田さんがまた津川さんを意識するような第二の脅迫状を」
「なんでそんなことを?」
「本田さんがやきもちでもやいて二人の仲を引き裂いてくれるって思ったみたいですよ。たとえ本田さんが本気で津川さんにアタックしたとしてもフランソワほどの敵にはならないって踏んだんでしょう」
「なるほどねえ」
ばあさん二人が間延びした声を出した。
宮田のばあさんが欠伸をかみ殺しながら聞く。
ばあさんにしたらほんとどうでもいい話だ。
「決まってるじゃないか。サラはあれさ、ファザコンてやつなんだろ」
葛巻さんが首をぽきぽきならしながら言う。
「そうなんですよ。サラは津川さんがこのマンションに越してきた時からずっと津川さんのストーカーみたいなことをしてたんですよ。ま、娘ですからストーカーにはならないのかな」
津川さんは情けない顔をしていた。
そうだよね、脅迫状の主が実の娘なんだもの。
「まず、隣人の本田さんが津川さんを意識したのを、女の勘というんですか、鋭く見抜きましてねえ。それで第一の脅迫状」
庄司さんたらまるで古畑にんざぶろうみたいなアクションでいちいち大げさなんだけど…。
「その後フランソワが津川さんに接近するのに気づき、本田さんがまた津川さんを意識するような第二の脅迫状を」
「なんでそんなことを?」
「本田さんがやきもちでもやいて二人の仲を引き裂いてくれるって思ったみたいですよ。たとえ本田さんが本気で津川さんにアタックしたとしてもフランソワほどの敵にはならないって踏んだんでしょう」
「なるほどねえ」
ばあさん二人が間延びした声を出した。