隣の津川さん
本田我に帰る
35歳って微妙だな・・・。

本田は帰り道をとぼとぼ一人で歩いた。

履きなれない細身の靴で歩き回ったから、足が痛い。

体重はさほど増えていないのに、自分の体型が変化していることを思い知らされた。

普段ジャージかヒップハングのパンツしか履かないから、自分のウエストなど意識したことがなかったが、かなりやばいレベルにある。

なんでヒップハングなんか流行っちゃったかな・・・。

本田はファッション業界にでも八つ当たりしたい気分だった。



それにしても今日は何のための一日だったのか。

我ながら情けないやらみじめやらで泣けてくる。



鼻水も垂れてきたから、バッグからティッシュを出して、思いっきりかんだ。

 ちいーーーーーーーーーーーん。

いくらかんでも出るわ出るわ鼻水が。

とうとうティッシュがなくなってしまった。

もう一個どこかに入ってたはず・・・と思いバッグの中を探していると・・・。


「よかったら、これ使ってください。」

通りすがりの人がティッシュを差し出してくれた。

「あ、ご親切にありがとうございます。」

涙と鼻水でくしゃくしゃの顔でお礼を言うと、

「大丈夫ですか、本田さん。」



エーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!



津川さんだった。




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