隣の津川さん
本田は決心していた。

津川さんとこのパーティーに行こう!!


昨夜へこみすぎて危うくキャンセルしようと思いかけていたが、あの黒い封筒を見たら闘志が湧いてきた。

誰だか知らないけれど、津川さんに悪意を持っている人が、あるいは本当に津川さんが悪い人だから親切で私に警告しようと思った人が、あの手紙を私に届けたのだろう。

本田ははっきりしない頭で思った。

どちらにしろ事実を確かめずにはいられない。

このパーティーに出れば、黒い封筒の差出人の手がかりをつかめるかもしれない。



ところで、今さらになってやっと本田は気づいた。


本田が津川さんについて知っていることと言えば、

1.数日前突然引っ越してきたこと

2.通訳の仕事をしていること


この2点だけで、下の名前も、年齢も、既婚者かどうかも、なにもかも本田は知らないのだ。
< 22 / 131 >

この作品をシェア

pagetop