隣の津川さん
「庄司さんいらっしゃい。来てくれて嬉しいです。」

津川さんは笑顔で庄司さんに握手を求めた。

庄司さんは別に驚くわけでもなく普通に握手している。

「なんか、いい部屋っすね。」

庄司さんは部屋の中を嘗め回すように見回した。

「同じ間取りとは思えないなあ。ねえ本田さん。」

庄司さんは本田の方を振り返りながらちらりと見て笑った。

「それはまあそうですねえ。」

「まだ引っ越したばかりだからねえ。がらんとしてるんですよ。」

津川さんはあいかわらずにこにこと愛想がよい。

それをいいことに庄司さんは部屋の中にあるものを勝手に手にとって見ている。



ちょっと庄司さん、あんた感じ悪いわねー!

人んちに来て勝手なことして。

あんた絶対彼女いないでしょ。

わかるわよ、私には!

本田は庄司の不躾な態度に腹が立っていた。



「おお!すっごい美人!!」

庄司さんは写真立てに食いついている。



なんとそんなものが置いてあったとは・・・。

庄司さん、さっきのは撤回する。

でかした!

私にも見せてくれー!


「あの、庄司さん、私にも見せてもらえませんか?」

庄司さんは本田のほうを振り返ってにやりと笑った。



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