隣の津川さん
「そろそろ、僕の友人が来てもいい頃なんですが・・・。」

津川さんは時計を気にしている。


「ねえ、津川さん。どこの外人と結婚していたの~?」

葛巻さんが突然口を開いた。


そこだ、葛巻さん、切り込み隊長頼んだ!


「ぼく、若い頃フランスに住んでいたんですよ。初めは大学で勉強するのが目的だったんですが、あっちが気に入っちゃいましてね。結局そのままずるずるとフランスに行ったまんまに。そうこうしてるうちに、結婚も離婚も経験して、日本に帰ってきたんですよ。」

津川さんは淡々と他人事のように話をしている。


「あの・・・あんなきれいな人とどうやって結婚できたんですか?参考までに。」

庄司さんが割り込んだ。

「あのね、庄司さん。あんたは無理よ。どう逆立ちしたって、津川さんみたいには行かないわ。」

葛巻さんが大げさに手を振って「絶対無理」と言っている。

「葛巻さん、失礼ですよ。僕は結婚の参考にしようと思っているのではないですから。小説を書く上での参考です!」

庄司さんは悔しそうに言い返したが、葛巻さんは腹を抱えて笑っている。
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