隣の津川さん
誰かいる。

壁の向こうに女がいる。

てっきり津川さんと二人きりのシチュエーションを想像していた本田だが、誤算だったようだ。

ドアを細く開けて本田は様子をうかがった。




ブロンドの髪の女・・・フランソワだ。

フランソワが頭を抱えて泣いている。

その傍らにいるのは・・・津川さん・・・。




津川さんはフランソワの肩を抱き、慰めているような仕草だ。






これって・・・。



これって・・・。



これって・・・。





二人はそういう関係ってことよねえ。





本田はこのシチュエーションで部屋を出て行くこともできず、ふらふらとベッドに戻り、倒れこんだ。


津川さんの匂いが鼻につんと来た。


なぜだか涙が出た。

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