隣の津川さん
「津川には気をつけろ!」

あの脅迫状のことはすっかり忘れてしまっていたから、まさに寝耳に水だった。

失恋が決定的になってから、何もする気になれず、脅迫状の件もすっかり抜け落ちていた。



本田はポストから封筒を取り出し、おそるおそる封を開けた。

前回と同様、また新聞を切り抜いて文字が貼り付けてある。



「津川を助けられるのはあなたしかいない。」



手紙を読んで呆然とする本田。

これはいったいどういうことだ?

前回とは全く違う内容になっている。



津川さんに何が起こっているの・・・?



差出人は誰なの?




最初の手紙「津川には気をつけろ!」は、本田を津川から遠ざけようという意志が感じられる。

しかし次の手紙「津川を助けられるのはあなたしかいない。」は、本田を津川に近づけようと言う意志が感じられる。



2通の手紙はまったく正反対のことが書いてある。


「私にどうしろって言うのさ?」

本田は半ばやけっぱちに言い捨てた。
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