隣の津川さん
庄司さんはキツネにつままれたような顔をしていた。

まさか本田の口からそんな言葉が出るなんて思いもしなかったのだろう。




本田は自分の顔だけでとどまらず、耳の先まで真っ赤になっていることは、頭部がやけに熱いことから想像できていた。



「あの、本田さん。わかりました。やはり津川さんのことが・・・。」



そうなんだ。

私はきっと津川さんのことが好きで好きでどうしようもなくなっている。

それを理性で蓋をしようとあがいているのだけど、そのために自分が苦しくてたまらない。



「あの、私、わかっているんです。自分に魅力がないこと。庄司さんがこの前言っていた通り、フランソワさんと同じ土俵で戦うなんてどだい無理な話だってことも。」


庄司さんはバツの悪そうな顔で、本田の目を見れないようだった。

心もとなさげにそこに立っている。
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