隣の津川さん
庄司さんは本当に厄介な人でたくさんも腹も立ったけど、庄司さんのおかげで本田は自分の気持ちを確認できた。

本田はすがすがしい気分に包まれながら、今日も自転車で通勤する。


あの自転車は津川さんじゃないですか。



それでは愛を貫いてみますかーーーーっ。



「おはようございます。」

本田は津川さんの横に自転車を走らせた。

「やあ、本田さん!」

津川さんはかなり驚いた様子だったけれど、いつもの笑顔をふるまってくれた。

「ずい分ご無沙汰でしたね。お元気でしたか?」

「はい。久しぶりに津川さんのお顔を見れてもっと元気になれそうですよ。」


このセリフ、本田にしてはずいぶんがんばった。

「津川さんに会えて嬉しい」を恥ずかしがり屋の本田だ。

この表現を発するのも相当な思い切りがいる。


「あはは。本田さんにそんなこと言われちゃうと僕も元気になっちゃいますよ。」



庄司さん、私きっと貫いてみせる!!!


庄司のいる北の空に向かってそっと誓う本田だった。





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