隣の津川さん
仕事から帰ってきて本田は考えていた。

そういえば、朝、津川さんは何を言おうとしていたんだろう・・・。

葛巻さんが現れなかったら、いったい・・・。

本田はシャワーを浴びて髪を乾かしながら、朝のやりとりを思い出し、うっとりとしていた。



ちょうどドライヤーを止めたとき、玄関のほうで物音がした。

まさかまたあの手紙?

本田が急いでドアを開けると、エレベーターの方に走り去る人影が見えた。

カツカツとハイヒールで走る音が廊下に響いた。

「ちょっと待って!」

あわてて追いかけたが、エレベーターホールに本田が着いたとき、エレベーターは既に下に降りてしまった後だった。


ハイヒールということは、女?

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