隣の津川さん
自分の部屋に戻ろうとサンダルをぺたぺた鳴らして歩いていると、津川さんが立っていた。

「あ、津川さん。」

津川さんは心配そうな顔で突っ立っていた。

「本田さん、どうしたんですか?」

「あ、いえ。」

「驚きましたよ。ドアも開けっ放しで、電気もつけっぱなしだし、いったいどうしたのかと・・・。」

本田はパジャマとサンダル、ノーメイクの自分に気がつき、急に恥ずかしくなった。

「あの、それが・・・。」



こうなったら仕方がない。

本田は全てを話した。


黒い封筒がすでに2通ポストに入れられていること。

1通目は「津川には気をつけろ!」。

2通目は「津川を助けられるのはあなたしかいない」。

と全く正反対のことが書かれていたこと。


津川さんはしばらく考え込んでいたが、やがてこう言った。


「しかし、なぜ本田さん宛てにその手紙が入れられるのでしょうか?」


確かに、なぜ本田宛てになるのだろうか。
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