隣の津川さん
「ぼくが、もう少し若かったら、きっとあなたにプロポーズしていたと思いますよ。あなたと一緒にいたい、と思わせる魅力が、本田さんにはあるんです。」


ちょ、ちょっと待って!

それってそのセリフって、もしかして学生時代に言われたあのセリフと同じ意味なんじゃない?

「本田はいい奴だ。おまえと結婚する奴は絶対幸せになれるからな!」

そうよ、このセリフと一緒だよ。

って、ことは津川さんはやっぱりやんわり本田とは付き合えないって言ってるの?



でも、でも・・・。

また、学生時代の再現なんてまっぴらごめんよ。

絶対同じ展開になるのだけは避けたい。



あの頃は本田自身に勇気がなかった。

やんわりお断りされてしまうと、それ以上傷つかないために自分の方から逃げてしまっていた。

あのときだって、逃げてしまった。


「やだあ、あったり前じゃん!私と結婚できる人は最高に幸せでしょ。ついてないね、山根君。」

本当は山根君のことがずっと好きだったのに・・・。

それなのに、傷つくことが怖くて、自分の本心を伝えられなかった。
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