隣の津川さん
でも、今なら言える。

だてに年は重ねていない。

傷つく前に逃げてしまう本田ではない。

今は真実を貫く本田だ。



「津川さん。」

本田はあえて津川さんの手をほどいた。



「津川さん、私正直に自分の気持ちを伝えます。」


「本田さん・・・。」

津川さんは、いつもと様子が違う本田に驚いたようだった。

いつもは絶やさない微笑が、津川さんの顔にはのっていない。



「津川さん、私、今、すごく幸せなんです。ここ最近感じたことのなかった充実感があって、生活にもハリがあって・・・。これってどうしてなんだろうって考えたら、わかったんです。津川さんが隣に引っ越してきてからなんです。わかりますか?」


津川さんは黙って本田の話を聞いている。
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