隣の津川さん
実は花田からので電話は今回が初めてではなく、月に一度くらいの割合で定期的にかかってきていた。

内容は大抵、子供のトラブルに関する電話で、とりたてて大騒ぎするほどの内容ではなかったが、保護者からの申し出を無下に扱うこともできず、慎重に慎重を期して対応をしてきた。

花田からの電話があると、まるでパブロフの犬のように本田も胃が痛くなるほどだった。

「本田先生、聞いてくださいます？」

花田からの電話は大抵このせりふで始まる。

「今日、息子のランドセルを開けて驚きましたわ。いったい何が入っていたと思います？」

「はあ、なんでしょうか？」

「すずめの死体ですよ！すずめの死体！」

「はあ。」

「息子に聞いてみましたら、同じクラスの安居くんに無理やり持たされたって言うんですの。」

「安居くんですか？」

安居くんは花田浩輔の子分各で、いつも浩輔に命令されてその通りに動いているような子だった。

どう考えても安居の命令で浩輔がすずめの死体を持って帰ったとは思えなかった。
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