隣の津川さん
「あらー、浩輔くんすばらしいです！」

本田は感嘆の声を上げた。

「本田先生、何をおっしゃってるんですか？」

花田は不信感をあらわにした。

「だって、花田さん。私、普段の浩輔くんを見ていて感じているんですが、浩輔くんはとても思いやりのある子です。」

「まあ、先生・・・。」

花田の声が変わった。

「生き物の命の尊さを普段から子供たちに教えてきたつもりなんですが、浩輔くん、おそらくすずめのお墓を作るつもりだったんじゃないでしょうか。いえ、あの子のことです。きっとそうに違いありません！」

「先生・・・。」

花田は明らかにトーンダウンしていた。

本田の言葉に心を打たれたようだった。

まあ、自分の子供のことを誉められて、悪い気などするわけないのだが、本田の思惑通り、話がうまくすり替わってしまったようだ。

「花田さん、是非浩輔君のこと、誉めてあげてください。私も明日登校してきましたら、本人に直接言わせてください！」

本田のテンションの高さは真実味を帯びていた。
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表紙・目次

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