隣の津川さん
「本田先生、通訳の方と知り合いなんですか?」

住田先生がこっそり聞いてきた。

「ああ、うん、同じマンションの・・・。」

「ああ、ご近所の方なんですね。」

「そう!ご近所の人。」

「いやあ私てっきり、本田先生の彼氏かと思っちゃいましたよ。」

「な、なんでよ?」

「うーん、女の勘とでも言うんですかね。すれ違いざまに耳元でささやく仕草に親密度が表れているような。」

親密度?

昨夜初めて会ったばかりだって。

いかんいかん、そんなこと馬鹿正直に住田先生に言ったら、勝手な想像をしかねない。
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