音〜聴覚を失った女の子の物語〜
いつから私は、音も立てずに階段を降りられるようになったんだろう?


いつも通りの朝。


お母さんの明るい「おはよう。」

お父さんの新聞をめくる音。

お兄ちゃんがトーストに噛り付く音。




なんでかなぁ………。
目には見えるのに、なにも聞こえない。



ようやくわかった。



なにも聞こえない。
この世の全ての音が聞こえなくなった。
< 3 / 14 >

この作品をシェア

pagetop